給湯器 凍結防止の予防策・凍ってしまった時の対処法のまとめ

こちらでは給湯器が凍結してしまった場合の対処法と凍結防止方法についてご紹介しています。
2019年2月の3連休には記録的大寒波が襲来しましたが、当時のように寒波が押し寄せてきた時には給湯器の凍結や破裂を防ぐために事前の対策が大切です。
これまで凍結で困った事のある方、長期間家をあける際に給湯器の凍結を防ぎたい方は、以下の対策を施し、凍結してしまった際の対処法と合わせてやり方を知っておきましょう。
給湯器が凍結してしまう原因とは?
給湯器は以下の2つの条件が重なると凍結してしまう可能性があります。
- 気温が下がり、水温が0℃以下になる
- 給湯器を使用せず、水が流れていない状態になる
水温が0℃以下になると水は氷となるため、配管内の水が凍ってしまいます。
もちろん、給湯器を使用し水が流れている状態であれば気温が下がったとしても凍結しない可能性もありますが、水給湯器を使用していない場合、水は流れず水道管に溜まったままになり、その状態で水温が下がると凍結してしまいます。
地方ではガス給湯器を凍結させないための凍結防止策として、あえて水を出しっぱなしにすることもありますが、これは流れている水は凍結しにくいという性質を利用しています。
給湯器で凍結しやすい箇所とは?
給湯器で凍結する可能性がある箇所としては、以下があげられます。
- 水道配管部分
- 給湯器本体配管部分
- 追い焚き配管部分
- 給湯配管部分

特に凍結しやすいのは「水道配管部分」になります。
水道配管部分
水道配管部分は以下のような理由で給湯器の中でも特に凍結しやすくなっています。
- お湯が通らず、水しか通らない
- 外気温の影響を受けやすく、水温が下がりやすい
給湯器本体配管部分
給湯器本体の配管の中でも、配管と接続している部分は金属製のパーツを使用しており、冷えやすくなっているため、特に凍結しやすい部分です。
追い焚き配管部分
追い焚き配管部分は外気温の低下によって凍結することはありますが、給湯器本体に備え付けられている凍結防止のためのヒーターによって守られているため、気温がかなり低下しない限りは凍結の可能性が低い箇所です。
給湯配管部分
水道配管部分と違いお湯が通り、なおかつ給湯器本体に備え付けられている凍結防止のためのヒーターによって給湯器の中でも比較的凍結が起こりにくい箇所ではありますが、凍結する場合もあります。
給湯器の凍結が起きやすい地域と気温状況
ガス給湯器の凍結は、北海道や東北地方などの雪国で起こりやすいです。
目安として外気温が「マイナス4℃以下」になると水道管の凍結が起こりやすく、このような気温になるのは雪国が多いからです。
ただし、マイナス4℃にならなくても例えば給湯器自体が日の当たらない場所にある、風が吹き抜ける場所にあると、給湯器の温度は低くなり、凍結が発生しやすくなります。
また、近年ではしっかりと寒さ対策を行っている雪国よりも、比較的暖かい南の地域の方が凍結トラブルに見舞われるケースが増えています。
実は南の地域では寒さ対策がしっかりしておらず、そんな中で急な寒波が襲ってきた際に凍結してしまうということがあります。
ですので、北海道や東北地方などの雪国にお住まいではない方でも凍結トラブルとは決して無縁とは言えない状況になっています。
給湯器の凍結防止に保温テープ・保温チューブ・凍結防止帯カバーを使う方法
これは特に凍結しやすい室外に露出している配管を保護する方法です。
保温テープ、保温チューブ


保温材には主に配管に直接巻き付ける保温テープと配管を包み込む発泡スチロールのような見た目の保温チューブがあります。
どちらもDIYでの補修が可能ですが、保温チューブはカーブする部分への取り付けが少し難しく設置場所の配管サイズを予め計測しておく必要があるので、基本的には保温テープを使用する方が多いです。
尚、保温テープは巻くだけで非粘着タイプの物もあるので、その場合は別途粘着テープを使って端止めを行いましょう。また、ビニールテープは熱で粘着性が弱まりますので、その部分は少し厚めに保温テープを巻き、配管の給湯の熱が伝わらないよう注意しましょう。
凍結防止帯

こちらは保温テープと見た目は似ていますが、中に電気を通し、凍結防止帯そのものが熱を持って給湯器が凍るのを防ぐ仕組みとなっています。
また、凍結防止帯に組み込まれているサーモスタットで外気温を関知し、暖かい時には無駄な電気は使いませんので、電気代もそれほど心配する必要もありません。
ただし、電源プラグが必要ですので、給湯器周りの電源が給湯器用の1箇所しかない、といった場合にはタコ足配線などでコンセントを増設・配線が露出しないよう取り回しが必要ですので、その点は事前に確認しておきましょう。
DIYでの装着方法は、配管に沿って巻き付けるだけ。非常に簡単ですが、凍結防止帯そのものが熱を持つ為、固定に粘着テープは使えません。別途結束バンドを用意すると良いでしょう。
また、凍結防止帯はヒーター機能を持つ電気製品で、凍結防止帯のみを設置すると剥き出しの状態となり小動物や雨風の影響で故障しやすくなるため、保温テープ・保温チューブと組み合わせて使うのが一般的です。
凍結防止帯を設置した上から保温テープをしっかりと巻き、破損しないよう保護しましょう。巻き方は以下の画像・動画を参考に、凍結防止帯に付属の説明書を見ながら適正な間隔で巻きましょう。

尚、道路の除雪などに使用される凍結防止剤(塩化ナトリウム)は家庭用の給湯器には絶対に使用しないようお気を付けください。
少量のお湯を垂れ流しにしたままにし凍結予防をする方法
こちらは少量の水を流し続ける事で凍結を予防する方法です。
- リモコンの運転スイッチを切る
- 給湯栓(蛇口のお湯側)を開け、1分間に400cc(太さ約4mm程度)の水が流れるよう調節し、そのまま放置しておく
主に浴室や台所など凍結しては困る箇所の給湯栓は、追い炊き機能の有無に関わらず、この方法で凍結予防が可能です。
給湯器内部の水を常に循環させておく事によって凍結を防止しますが、リモコンのスイッチを切っておかないとお湯が出続けガス代がかさんだり、機種によっては異常使用と判断してエラーが出る場合がありますので、リモコンのスイッチを切っておく事はお忘れなく。
凍結防止機能が標準装備されている給湯器の場合(追い炊き機能付き給湯器)
追い炊き機能付き給湯器の場合、外気温が下がると自動的に凍結を防止する為のヒーター・ポンプが作動します。作動時には浴室や台所のリモコンに「凍結防止」マークが表示されます。
- 給湯器・リモコンの電源がONになっているか確認
- 浴槽の水を空にしないで循環金具より5cmほど上まで水を張っておく
この状態をキープしておきましょう。浴室の水を循環させる事で凍結を予防する仕組みが取られています。
尚、給湯器に追い炊き機能が付いていない場合には、この方法は使えませんのでご注意下さい。
水抜きで凍結防止をする方法
これは給湯器・浴室に溜まっている水を全て抜いておく方法です。冬場の別荘や旅行などで長期に渡って家を空ける際には以下のように対処しておくと凍結を予防できます。
水抜きはまず給湯器から行います。

- 台所・浴室などに設置してある全てのリモコンの運転スイッチを切る
- 給水元栓・ガス元栓を閉める
- 室内の給湯栓(蛇口)を全て開ける
- 給湯器側の水抜き栓を全て開ける
これにより給湯器から室内までの水が全て抜け、凍結を防止する事が出来ます。
続いて浴室内の水抜きです。
- 給水元栓・ガス元栓が両方とも閉まっているか確認
- 浴槽内の水を完全に抜く
- 浴槽内が空になったらリモコンのスイッチを入れ、追い炊きスイッチをONにする
- 循環金具から水(お湯)が出る事を確認する
- 給湯器側の水抜き栓を全て開ける
- 給湯器の電源プラグを抜くか分電盤をオフにする
※こちらはリンナイHPにて記載されている追い炊き機能付き給湯器用の手順です。
また、この手順を実行した後は、そのままでは給湯器が使えません。次に給湯器を使う際には
- リモコンのスイッチをOFFにする
- 給湯器側の水抜き栓を全て閉める
- 給湯器の電源コードを指す(分電盤をONにする)
- ガス元栓・給水元栓を開ける
- 10分程度放置してからリモコンの運転スイッチをONにする
- リモコンにエラーコード等が表示されていない事を確認した上でお湯を使う
といった手順を踏んでください。
凍ってしまった時の対処法
もしもすでに凍ってしまったという場合には、基本的には自然解凍を待つのがベストです。
給湯器本体や配管にお湯をかけて解凍する方法は、急激な温度変化により配管や給湯器本体が破損・故障する原因となる為、オススメできません。
実際、2018年の1月下旬、大雪とともに首都圏に44年振りとなる寒波が襲った際は
『給湯器凍りついてもお湯かけないで!ガス会社が注意呼びかけ』「ビビット」引用:JCAST
と、全国ネットでTV局が呼びかけるほどでした。凍結による給湯器の修理は保証期間内であっても有償となりますので、破損の可能性があるお湯を用いた解凍はやめましょう。
自然解凍を待てない場合、給湯器の凍結を直すにはドライヤーの温風をあてるという方法があります。
この際もお湯をかける方法と同様に急激に温めると破損する危険性がありますので、少し離した位置からドライヤーをあて、少しづつ時間をかけながら解凍しましょう。
尚、ホッカイロを使うという方法もありますが、ホッカイロは凍結している箇所に貼っておいてもすぐに冷たくなってしまい、あまり効果はありませんのでオススメしません。
凍結した給湯器の修理費用の目安

凍結によって給湯器が破損してしまった場合、修理費用がかかってしまい、具体的には以下の2パターンが考えられます。
- 給湯器以外の配管が破損した場合
- 給湯器内部の配管が破損した場合
給湯器以外の配管が破損した場合
給湯器以外の配管が凍結によって破損した場合、かかる修理費用は数千円~数万円程度だと考えられます。
給湯器内部の配管と違い、外側にある配管ですので破損が起こったとしても単純に配管を交換することで解決する場合が多いということが理由です。
給湯器内部の配管が破損した場合
給湯器内部の配管が破損した場合、かかってくる費用は起こるトラブルによって変わってきます。
- レベル1.給湯器内部に残った水が凍結し、その影響で配管が破損した場合
- レベル2.凍結した氷が溶け、配管の破損部分から水漏れした場合
- レベル3.内部の配線につながっている部品に水がかかり漏電した場合
- レベル4.漏電の影響で、電気回路や熱交換器が破損。また漏電を検知し内部のブレーカーが落ち、給湯器が停止した場合
電気回路や熱交換器が破損してしまうと、4万円~6万円程度の修理費用が発生する可能性があります。
修理内容・修理箇所 | 費用 |
---|---|
電子回路の修理(基盤) | 4万円程度 |
熱交換器の交換 追い焚き回路 | 5万円程度 |
熱交換器の交換 給湯回路 | 6万円程度 |
凍結によって給湯器が故障した場合には修理を行う前に、給湯器の使用年数を確認し、10年近く使っている場合は給湯器の寿命が近く、また修理部品の製造が近々終了してしまいます。
そのため、長い年数を使用している場合は修理よりも交換の方がお得に済む可能性がありますので、そちらも検討してください。
リンナイの給湯器凍結は正しい方法で予防しよう
今回この記事でご紹介した内容をまとめると以下のようになります。
- 水温が0℃以下の状態で給湯器を使用しないと配管の水が凍結する可能性がある
- 雪国で起こりやすい現象ではあるが、近年では南の地域でも凍結は起こる
- 凍結が起きた際はお湯をかけず、自然解凍を待つのがベスト
凍結自体は冬場になると非常に多いトラブルの一つですので、この記事を参考にぜひ凍結防止の対策を取ってください。