給湯器が不足!現状と今後の見通しまとめ

2022年5月現在、国内メーカーの給湯器が不足する自体が起きています。 この現象は主に2020年頃から続いており、リンナイやノーリツ、TOTOなど給湯器の各社が納品遅れに関する案内文をたびたび公表しています。
なかには給湯器が壊れ、新しい機種が届くまでに半年以上かかったという声もありました。
そこで本記事では、給湯器不足の原因と今後の見通しについて解説します。
給湯器が不足している原因

- 新型コロナウイルスで工場がロックダウン
- 需要と供給のバランス崩壊により半導体が不足
もちろん、必ずしもこれだけが原因とは限らずその他にも不足している要因はあります。
たとえばノーリツの発表によれば、給湯器の製造に欠かせない、「ポリアミド(PA)」という樹脂の不足も給湯器の製造遅れに拍車を掛けています。
ポリアミドを製造する北米エリアは、21年2月に大寒波に見舞われました。
そのため通常通りポリアミドを輸出できなくなったのです。
こうしたさまざまな要因が重なり、現在の給湯器不足が起きていますが、給湯器不足に影響が大きいのは上記の2つです。
新型コロナウイルスで工場がロックダウン
もっとも大きい給湯器不足の要因が、新型コロナウイルス感染症の拡大による工場ロックダウンです。
これまで国内の大手給湯器メーカーはコストの競争力を高めるため、部品の輸入元を1ヶ所に絞る戦略を続けてきました。
特にベトナムをはじめとする東南アジア諸国の工場は、国内の給湯器製造における大きなシェアを担っていたのです。
しかし新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界各国の工場はロックダウンし、実質、まったく稼働できない状態となりました。
ほかの輸入国や工場を持たない国内の給湯器メーカーは、この煽りをもろに受けることとなったのです。
現在ではロックダウンも解除されつつあり、工場は通常どおりの動きを取り戻していますが、依然として納品の遅れはある状況です。
需要と供給のバランス崩壊により半導体が不足
給湯器に使われる半導体は、新型コロナウイルス感染症が拡大してから需給のバランスが崩壊しました。
まず2019年、新型コロナウイルス感染症が拡大しはじめた頃、半導体を用いる自動車などの売上が大幅に低迷します。
一方で、巣ごもり需要でPCやスマホ、ゲーム機といった製品の需要が拡大し、半導体メーカーは、需要の高い製品を優先的に製造することで受給のバランスを保っていました。
そんな中、米中貿易摩擦が起きアメリカが中国企業に事実上の禁輸制裁を行います。
その結果台湾や韓国の半導体メーカーに注文が殺到しました。
さらに2020年には自動車メーカーの売上が回復したことにより、いよいよ世界的な半導体不足となりました。
追い打ちをかけるように2021年以降は異常気象や自然災害が発生し、工場での水不足や火災が起き、より一層半導体の生産が追いつかなくなってしまったのです。
現在の給湯器の在庫状況

給湯器販売業者 | 在庫状況 |
---|---|
イースマイル | 2022年5月現在、在庫あり |
ガスペック | 2022年1月現在、一部在庫あり |
ミズテック | 2022年2月現在、一部在庫あり |
湯ドクター | 一部在庫あり |
※納期が未定の商品も多数
全国の設置に対応している大手販売業者を挙げましたが、多くの業者が通常どおりの在庫状況を取り戻しつつあります。
たとえばイースマイルは5月中だけでも347台のガス給湯器入荷。
2月の入荷数88台と比べると、市場が徐々に戻り始めていると分かります。
またガスペックにおける5月25日時点の情報では、新規でメーカーに注文すると、納期は10月以降になるとあります。
しかし販売業者は各社在庫の確保につとめており、在庫のある機種であればすぐに納品が可能とのことです。
このように各社の在庫状況を見ると、以前よりかけていた注文分の製品が、今になってやっと入荷できるようになってきた状況といえます。 一部在庫のない商品もありますが、2021年や2022年の1、2月に比べると在庫状況は劇的に改善しているといえるでしょう。
詳しい在庫状況が気になる方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。

給湯器不足が解消される?今後の見通し

給湯器不足は、現在既に解消へ向かっています。 国内の給湯器メーカーはリスク分散のために東南アジア以外の諸国での部品製造や原料輸入を開始しています。
さらに新型コロナウイルスの感染者数も徐々に落ち着いており、国内での極端な巣ごもり需要は収まっているといえるでしょう。
現に、2022年の4月に入ってからSNSでも「給湯器がやっと届いた」といった声が増えています。
中には2021年の9月から注文し、ようやく手元に給湯器が届いたといった人もいます。
ただでさえ給湯器の故障やトラブルが多い冬場を乗り切ったことで、今後はゆるやかに給湯器不足も解消していくことが予想されます。
ただし異常気象や自然災害により、工場が停止してしまう可能性は今後もゼロではありません。
万が一給湯器が壊れて納品待ちとなった場合は、販売業者や自治体が給湯器を貸し出している場合もあります。
銭湯に通わなくて済む可能性もあるため、ぜひご確認ください。
給湯器交換を考えている人は早めに業者に相談

給湯器の寿命である10年近く使い続けている場合は、故障のリスクが高い傾向にあります。
壊れてから注文すると待たされる可能性があるだけでなく、お湯が使えず非常に不便な生活を強いられます。
そのため10年近く給湯器を使っている場合は、壊れる前に業者へ相談しておきましょう。
業者に点検してもらうと、壊れる前に部品の交換や簡単な修理だけでより長く給湯器を使い続けられる場合があります。
もし点検して交換したほうが良いと判断された場合は、早めに注文することをおすすめします。