給湯器の排気カバーとは?役割やメリットをご紹介

給湯器に取り付ける排気カバー、実は必ず付けなければいけないものではなく、むしろ、給湯器を設置したときに排気カバーは付けられないケースが多いです。
しかし、排気カバーを取り付けることで大きなメリットがあります…!
そこで今回、排気カバーの役割やどのような人が付けるべきなのかなど、給湯器の排気カバーについてを詳しく解説します。
給湯器をより安全に使用したい人や、ご近所トラブルを未然に防ぎたい人は特に必見です。
給湯器の「排気カバー」とは?

排気カバーとは、給湯器の排気口に取り付けるカバーのことです。
給湯器は、お湯を沸かす際に内部で熱を発生させるのですが、このときに出た余分な熱を空気と共に排出するのが排気口です。
多くの給湯器は本体の上部に横長の穴が空いていることが多く、これが排気口にあたります。
給湯器の本体に排気口が見当たらない場合は、すでに排気カバーが設置されている可能性があります。 マンションやアパートなど、給湯器の設置スペースが限られている場合ははじめから排気カバーが設置されていることが多いです。
なお、排気口からは50℃以上の熱風が排出され、この温度は時に200℃を超えるケースも。
また排気口から出る空気は、内部で生じたすすを運んできます。
こういった排気口から出る熱やすすなどが隣の家に影響を及ぼさないようにするために、排気カバーは使われます。
給湯器の排気カバーの役割

排気カバーの主な役割は、以下のとおりです。
- 排気口から出る熱風による事故や火災のリスクを低くする
- 排気口付近の外壁や物をすすから守る
- 排気のにおいを抑える
- 排気口から出る空気の向きを変える
- 給湯器内部の故障や腐食を防ぐ
排気カバーのもっとも大きな役割は、熱風による事故や火災のリスクを低くすることにあります。
先述のとおり排気カバーがない場合、給湯器の排気口からは50〜200℃もの熱風が直接吹き出すため、そのような排気口が、人の通る場所に向いていたら火傷のリスクが懸念されます。
また、特に冬といった乾燥しやすい時期はこの熱風が原因で火災が起きるリスクもあります。
排気カバーを付けると、熱を逃がしながら排気の温度を下げることができ、またカバーの向きによっては、排気と共に出るすすからも外壁を守ったり、においを抑えたりすることもできます。
給湯器に取り付ける排気カバーの種類

排気カバーの種類 | こんな人におすすめ |
---|---|
上方排気カバー | ・安い排気カバーを探している ・排気口の目の前に物や壁がある ・給湯器の上部に部屋やベランダがない |
側方排気カバー | ・排気の向きを変えたい ・排気口の目の前に物や壁がある |
延長型カバー | ・給湯器の周りが壁や物で囲まれている ・給湯器の近くに隣接した家がある ・外観を気にしない |
給湯器の設置場所や重視したいポイント(安全性・においなど)によって、どの排気カバーを選ぶか検討しましょう。
上方排気カバー
上方排気カバーは、排気を給湯器の上に向けて流すカバーです。
形状はL字型になっており、排気口に直接取り付けることで排気がカバーの壁に当たり、上へ抜けていきます。
上方排気カバーは、排気カバーの中でももっともシンプルでコンパクトであり、その分、本体価格も安い傾向にあります。
ただし、上向きに排気口が付いているためゴミやほこり、落ち葉などが排気カバー内に入りやすい点がデメリットといえます。
たとえば乾いた落ち葉が内部に多く溜まると、火災の原因にもなりかねないため、定期的に内部を確認し、掃除する必要があります。
また給湯器の上部に窓やベランダがある場合、熱風やにおいがそちらへ流れるため注意しましょう。
側方排気カバー
側方排気カバーは排気を給湯器の左右に流すタイプのカバーです。
大きさは上方排気カバーと同じくコンパクトです。
形状は筒形になっており、左右にのみ通気口が空いています。
場合によっては左右どちらかの通気口を閉じて、片方だけに排気が流れるようにすることも可能です。
そのため給湯器の正面に隣接した家がある場合や、火災の原因となりそうな木があるといった場合におすすめの排気カバーです。 将来的に大きくなりそうな木がある場合も、あらかじめ側方排気カバーを付けておいたほうが安心でしょう。
また外壁に対して直接排気が吹き付けないため、隣の家の外壁をすすけさせてしまうのが心配な人や給湯器の上部に部屋やベランダがある場合にも最適な形状といえます。
ただし、上方排気カバーと比べると価格は側方排気カバーのほうがやや高めです。
延長型カバー
延長型カバーは給湯器の排気口にパイプを取り付け、排気口を延長することで離れた場所へ排気できるタイプのカバーです。
給湯器の周囲が家や物に囲まれている場合や、排気がこもってしまいそうなときに採用されます。
たとえば給湯器の前方や両サイドには家があり、上方には自宅のベランダがあり、どこにも排気を逃がせないといったときには延長型カバーが便利です。
ただし延長型カバーは、飲食店でよく使われるダクトのような太いパイプを使用します。
場所によってパイプが目立ち、外観が損なわれる可能性がある点がデメリットです。 あまり外観を気にしない場合や、目立たない場所を這わせられる場合は特に問題ありません。
また家の形状や設置場所によっては、工事の費用が高くなる傾向にあります。
給湯器の排気カバーを取り付けるべき人とは?

給湯器の排気カバーは、絶対に付けなければいけないものではありません。
付けなくても特別罰則があるわけではありませんが、火災や近隣トラブルの予防といった観念から、付けた方が良い場合もあります。
また、ガス式給湯器は火災予防の観点から設置基準が決められています。
この設置基準に満たない場合、排気カバーを必ず取り付ける必要があります。
ガス給湯器の設置基準については取付業者が確認すべきことですが、火災のリスクが心配な人は自分で確認しておくことをおすすめします。
ではここから、給湯器の排気カバーを絶対に取り付けるべき場合と、取り付けたほうが良い場合について見ていきましょう。
給湯器の排気カバーを取り付ける必要がある場合
給湯器の設置基準では、以下のとおり給湯器の周囲に必要な空間の広さが規定されています。方向 | 設置基準 |
---|---|
給湯器の上方 | 排気口から30cm以内に物がない |
給湯器の下方 | 排気口から15cm以内に物がない |
給湯器の前方 | ガス給湯器から60cm以内に可燃物がない(不燃物では30cm) |
つまり給湯器の上は30cm、下は15cm、前方には最低60cmの空間が最低でも必要ということになります。
たとえば前方20cmのあたりに木(可燃物)が生えている場合は、設置基準を満たしていないことになります。
上記の設置基準を満たしていない場合、火災のリスクが高いといえるため早急に排気カバーを取り付けましょう。
給湯器の排気カバーを取り付けた方が良い場合
給湯器の排気カバーを取り付けた方が良い場合は、主に以下のとおりです。
- 隣接した家のほうへ排気が流れていってしまう場合
- 給湯器の周辺にブロック塀があり、通気性が悪い場合
- 排気のにおいやすすが気になる場合
給湯器の排気で多いのが、ご近所トラブルです。
特に隣接した家のベランダや窓が近くにある場合は注意しましょう。
熱風やすす、においが風に乗って隣家に流れ、クレームが来ることも考えられます。
また実際に隣家の外壁を排気のすすで汚してしまった場合、賠償問題にもなりかねません。 トラブルが起きる前に、あらかじめ業者へ依頼して排気カバーを取り付けることをおすすめします。
なお給湯器の周囲に充分なスペースが取れていても、ブロック塀といったものが近くにあると排気がその場にたまってしまう可能性があります。 給湯器の周辺に熱気やにおいがこもっている場合も、排気カバーの取り付けを検討しましょう。
わからない場合はすぐに業者に相談を!

排気カバーの取り付けは自分でも可能ですが、専門業者に依頼することが推奨されています。 業者へ相談すれば、どの排気カバーをつければ良いかも現場を見たうえで適切に判断してもらえるでしょう。
給湯器の排気に関して不安なことやわからないことがある場合は、まず給湯器の専門業者に依頼することをおすすめします。
ただしこのとき、悪徳業者を選ばないよう実績や評判をしっかりチェックしましょう。